仮初

 ここは「街マニヤの覚書」の出張暫定版である。こっそり再開、というよりは別物に近い。よろしく。

 先日。
「みんな失踪や自殺とかしないってのって、すごいですよね」
 と、素で言ったら、仕事場の人にさーっとひかれてしまった。
 でも一寸先ってホントウに闇なんだよ。というような事件ばかりが周囲を過ぎ去って、やっぱりこっそりと、そんな風に思ったりする。
 でもそういう世界観の基礎になったものを思い返してみると、大切だったはずのものが、大切だったはずの痕跡も残さずに消えてしまったのをくりかえした体験だったかもしれない。たとえば街を愛するというのは、そういうことなんである。もちろんそういう風に自分をわざわざ作り上げてしまってきただけなのでは、という疑いが頭に浮かばないほど、若いわけでもない。